IBORのリスク・フリー・レートへの移行に関するご案内

本ご案内は、みずほ銀行シンガポール支店(当行)が、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の廃止、銀行間取引金利(IBOR)の改革の概略を、お客さまへご案内させていただくために作成したものです。記載している情報は、当行が信頼できると考える公開情報のみに基づいて提供しておりますが、その内容の正確性、信頼性、完全性を保障するものではございません。本ご案内は、法律上、規制上、税務上、会計上の助言を行うことを目的としているものではございませんので、LIBORの廃止を含むIBOR改革に伴う影響について、法律上、規制上、税務上、会計上の助言を必要とされる場合は、それぞれの専門家へご相談ください。

1. 概要

ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は、最も広く用いられている短期金利の指標であり、デリバティブ、債券、事業ローン、その他の金融商品の指標金利として用いられているものです。LIBORの算出は、リファレンス・バンクが無担保で資金調達をする際の市場実勢と考えられる金利を、5通貨(USD、GBP、EUR、JPY、CHF)、毎日LIBOR運営機関へ提示することによって行われます。

一部の通貨では、日本円に対する東京銀行間取引金利(TIBOR)やシンガポールドルに対するシンガポール銀行間取引金利(SIBOR)およびスワップ取引金利(SOR)など、固有の指標を使用しています。

金融規制当局は、IBORに影響する銀行間取引市場が十分に活性化しておらず、流動性が低下していることに懸念を表明しており、2017年、英国金融行為規制機構(FCA)は、2021年以降、LIBORの計算に使用される金利の提示をリファレンス・バンクに強制しなくなると発表しました。現在において正確な時期は不明ではありますが、2021年末までにLIBORが廃止となると予想されています。

FCAをはじめとする規制当局は、各銀行に対し、2021年末までにLIBORの使用を停止する計画を立てることを求めており、市場参加者に対し、より活発で流動性の高い翌日物の取引に基づくリスク・フリー・レート(RFRs)への移行を促しています。

2. 代替金利指標

現在のところ、IBORの変更の正確な時期と範囲は不明ではありますが、金利指標の中には、公表されなくなるもの、使用が制限されるもの、通常の市場で使用されなくなるもの、または別の方法で計算されるようになるものがあります。

RFR作業部会は、いくつかの領域における代替金利指標を特定し、移行のための戦略の策定を始めております。以下の表は、金利指標の例示し、それらが今後どのように代替されるのかを示したものになります。

通貨 現在の金利指標 代替金利指標 有担保
無担保
期待されるアプローチ
CHF CHF LIBOR SARON
(Swiss Average Rate Overnight)
有担保 SARONへ移行
EUR EONIA €STR
(Euro Short–Term Rate)
無担保

€STRへの移行

EONIAは、€STRへの円滑な移行を可能とする新たな手法の下で継続し、2022年には廃止される予定

EUR EURIBOR
または
EUR LIBOR
Reformed EURIBOR 無担保

マルチプル・レート・アプローチ

Reformed EURIBORは、€STRと並行して継続される見込み

EUR LIBORは(LIBORと共に)廃止され、€STRへ移行される予定

GBP GBP LIBOR SONIA
(Sterling Overnight Index Average)
無担保 SONIAへ移行
JPY JPY LIBOR TONAR
(Tokyo Overnight Average Rate)
無担保

    
マルチプル・レート・アプローチ

TIBORは現在改革中であり、TONARと並行して継続されると予想されている

ユーロ円TIBORについては廃止される可能性あり

SGD SIBOR
(Singapore Interbank Offered Rate)
Reformed SIBOR 無担保 SIBORは、主に直物取引に使用される既存の金利であり、取引データにより基づくものとするための改革が進められている
SGD SOR
(Swap Offer Rate)

SORは主にデリバティブ市場で使用される既存の金利であり、USD LIBORを参照し算出される

SORは、既存の翌日物金利であるSORA(Singapore Overnight Rate Average)へ移行される見込み

SORAの詳細については後述

無担保

シンガポール銀行協会(ABS)とシンガポール外国為替市場委員会(ABS–SFEMC)は、SORのSORAへの移行に向けたロードマップに関する報告書を公表している

以下のWebリンクから、報告書へアクセス可能

USD USD LIBOR SOFR
(Secured Overnight Financing Rate)
有担保 SOFRへ移行

3. SORからSORAへの移行

SORは、SGDの金利デリバティブで使用されているほか、事業ローンやシンジケート・ローンなどのSGDの直物取引市場でも広く使用されています。

SORの計算はUSD LIBORを参照しているため、LIBORの廃止はSORの将来の持続可能性に影響を及ぼすことから、ABS–SFEMCはSORAをSORの代替金利指標としています。

SORAはシンガポール金融管理局(MAS)が毎日公表しており、シンガポールのホールセール(またはインターバンク)市場で取引されたSGD翌日物の資金取引の、出来高加重平均レートを反映しています。SORAは取引が十分に活発で厚みのある翌日物の市場に支えられており、SGDの短期金融市場の日々の状況を反映し、短期金融市場参加者によって広く使用されています。

The Steering Committee for SOR Transition to SORA(SC–STS)は、業界全体でのSORからSORAへの金利指標の移行を監督するため、また、金融商品にSORAを使用するための業界における取り決めの策定や、業界におけるベスト・プラクティスを図ることを目的に設立されました。
当行は引き続き、業界動向やSORからSORAへの移行に関する市場の動向を注視して参ります。

4. IBORとRFRの違い

IBORとRFRには、次のような多くの違いがあります。

  • 金利の決定
    現在、RFRは、実際の過去の取引に基づくバックワードの翌日物金利として考えられておりますが、IBORは、各金利期間の開始時に固定され公表されているターム物金利であり、IBORはフォワードレートとなります。
  • 信用プレミアムと流動性プレミアム
    IBORが、銀行の信用リスクと調達期間の流動性リスクに関するコストが含まれた、リファレンス・バンクが提示するインターバンク市場における無担保での調達金利に基づくのに対し、RFRはそれらのコストを含まない翌日物取引に基づいています。既存の契約をIBORからRFRに移行させるには、IBORに含まれるそれらのリスクを反映させるために、RFRにスプレッドを組み込むことが行われる場合がございます。また、合意によって定められている場合には、LIBORからTIBORなどの他の代替となる金利に移行することも可能となります。

5. LIBOR廃止による顧客への影響

LIBORの廃止は、お客さまが現在保有する(または将来当行がお客さまへ提供する)ローンやデリバティブ等の商品に影響を与える可能性がありますので、LIBOR廃止による影響の一部を概説いたします

  • 商品の支払いに対する影響
    ローンやデリバティブのような商品における金利等の支払いがLIBORを指標金利とし計算されている場合の、LIBOR廃止の影響は契約の条件により異なります。適用される新しい金利指標、およびその金利指標がLIBORとどのように比較されるかによって、その商品における金利等の支払いが、LIBORを指標としている現行対比で増減する可能性があります。
  • 商品の時価に対する影響
    金利指標の変更は、商品の時価に影響を与え、会計上、税務上、その他の潜在的な影響をもたらす可能性があります。
  • オペレーションやシステムへの影響
    LIBORの代替としてバックワードの翌日物金利が用いられる場合、金利は計算期間の終了時に計算されます。この変更に対応するために、オペレーションやシステム、およびその他のインフラを適切に更新する必要がある場合があります。
  • ヘッジの影響
    商品間(ローン及び当該ローンに係る金利支払債務のヘッジのためのデリバティブ取引等)で金利の潜在的なミスマッチが発生する可能性があります。

当社商品に影響を及ぼす可能性がある、LIBOR及び/又はIBOR及び/又はRFRの上記又はその他の側面に関する助言を必要とされるお客さまに関しましては、それぞれの専門家へご相談ください。

(1) デリバティブおよび契約書等への影響

デリバティブ業界団体のInternational Swaps and Derivatives Association, Inc.(ISDA)は、LIBORを指標金利とするデリバティブに対する新たなフォールバック条項を盛り込むよう、標準条項を更新する予定となっています。

フォールバック条項の更新は、指標金利がLIBORから、同じ通貨のRFRに基づくレートへ置き換えられる発動条件(例:LIBORの公表停止 等)を提供することを目的としています。

更新案は現時点において草案段階にありますが、フォールバック条項が決定すれば、ISDAはISDAフォールバック・プロトコルを作成し、ISDAのウェブサイトで公表を行いますので、ISDA加盟者は加盟者間での既存のデリバティブを、フォールバック条項が含まれるよう修正することが出来ます。当行は、ISDAフォールバック・プロトコルが公表されればお客さまへお知らせいたします。

お客さまが、当行とISDA契約を締結しているが、ISDAの加盟者ではない場合、ISDAフォールバック条項の決定後、当行はお客さまとの間でISDA契約の条項の修正に関する合意を行うため、個別にご相談させていただきます。このお客さまとの間での合意は、ISDAフォールバック・プロトコルの遵守と実質的に同じ効果を得ることを目的としています。

当行は、デリバティブ商品に関するLIBORからの円滑な移行を図るため、お客さまや関係機関と連携し継続し対応して参ります。

(2) ローンおよび契約書等への影響

一般的にローンの契約書面には、LIBORが利用できない場合に適用されるフォールバックが含まれている場合があります。しかし、これらのフォールバックは、LIBORの廃止に対応するために契約書面に記載されたものではありません。

本件に関連して、ローン市場協会(LMA)(ローンの業界団体)と米連邦準備制度理事会が設立した代替金利指標委員会(ARRC)はローン市場の参加者に対して契約書面でのフォールバック文言を推奨しております。基本的に、フォールバック文言は、LIBOR(その他のIBOR)の代替金利指標への円滑な移行を促進することを目的としています。

デリバティブと同様に、当行はバイラテラル・ローンやシンジケート・ローンを含むローン商品のお取引をいただくお客さまに対して、既存のローン契約書面にフォールバック条項を盛り込むよう個別にご相談させていただきます。

(3) LIBOR移行準備

当行では、金融業界におけるワーキング・グループへの参加や、代替金利指標を適用した新製品の開発に取り組む等、LIBORの移行に向けた準備を積極的に進めています。当行は今後もお客さまと共に、業界全体での新たな金利指標への移行に伴う市場の変化に対し対応を継続して参ります。

LIBORが廃止されるまでの間に、LIBORの廃止がお客さまの事業に与える影響を評価し、必要に応じ、独立した専門家に助言を得ることをご検討ください。

参考情報

さらに詳細な情報を必要とされる場合は、当行の担当者までご連絡してください。また、FAQでは、IBOR改革の主要テーマについてご説明しています。

金利改革およびIBOR移行に関する一般的な情報をお探しの場合は、次のWebサイトをご参照ください。

FCA
https://www.fca.org.uk/

Bank of England
https://www.bankofengland.co.uk/markets/transition-to-sterling-risk-free-rates-from-libor

日本銀行
https://www.boj.or.jp/en/paym/market/sg/index.htm/

Federal Reserve Bank of New York
https://www.newyorkfed.org/arrc

Financial Stability Board
https://www.fsb.org/

ISDA
https://www.isda.org/category/legal/benchmarks/

LMA
https://www.lma.eu.com/libor

The Association of Banks in Singapore
https://abs.org.sg/docs/library/consultation-report-on-roadmap-for-transition-of-interest-rate-benchmarks-from-sor-to-sora.pdf (PDF/1,106KB)
 

FAQ

Q. LIBORは2021年12月以降も利用できる可能性はあるか

FCAは、LIBORリファレンス・バンクに2021年12月の金利公表を強制しないと発表しております。市場参加者は、現在入手可能な情報に基づき、代替的となる金利指標への移行や、合意によるフォールバック条項の導入を含め、LIBOR廃止の前にできる限り早期に準備を行うことが望ましいと考えます。

Q. ターム物のRFRは利用可能か

Sterling Risk–Free Reference Ratesのワーキング・グループは、SONIAの金利指標という用語が2020年第1四半期に利用可能になると予測しております。The US Alternative Reference Rate Committee は、2021年末までにSOFRという用語を開発しようとしております。また、日本円金利指標に関する検討委員会では、2021年半ば頃までには、将来を見据えたターム物のRFRが開発されると予想しています。

Q. LIBORを参照した商品の取り扱いはいつ終了するのでしょうか

各国の規制当局や業界のワーキング・グループは代替金利指標への移行を進めていますが、金融業界では現在もLIBORを指標金利とする商品が主流であります。このため、当面はLIBOR商品の提供を継続いたします。しかし、今後、LIBORを指標金利とする商品の流動性が低下し、提供可能な価格が不安定になる可能性があります。このため、2021年12月末のLIBOR廃止の前までに、LIBORを参照した商品の提供を終了する可能性がございます。

Q. 銀行はいつ新商品を出しますか

当行では、段階的に商品ラインアップの拡充を目指し、代替金利指標を用いる新商品の開発に取り組んでいます。

 

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